エピソード 02|文化を説明した日
- 5月18日
- 読了時間: 3分
問題
留学生寮で働いていた頃、生活指導がうまくいかない場面が何度もあった。
ゴミの分別や夜間の騒音。
学生たちは、本国で馴染んでいた生活をそのまま持ち込む。
注意しても、行動は変わらない。学生だけではない。
これらは外国人教師といえども同じだった。
ルールを気にしない。皆、自分が思う通りのことしかやらない。
叱ることにも意味を感じられなくなる。
転換
ある時、やり方を変えた。
伝わらないことへのもどかしさがあったからだ。
ルールを守らせるのではなく、文化を説明することにした。
文化とは、ルールの背後にある"なぜそうするか"の集積だ。
だから私は、その部分を説明してみることにした。
実践
ゴミが分別されなかった場合、誰が、どんな作業をすることになるのか。
私がゴミの分別をしている実際の様子を写真に撮り、学生に配布した。
ゴム手袋とトングで、残飯の付いたペットボトルを袋から取り出している。
それでも従わない学生には、分別されていないゴミを部屋に戻した。
苦情は出たが、方針は変えなかった。
自分の後始末は自分でさせる、これがないと私の仕事は前に進まないし、私にはそれが当然に思えた。
記録
こうしたやり取りは、会話だけでは追いつかなかった。
言った、言わないを残すために、連絡はすべて文字で共有するようにした。
記録を残し、立ち戻る確認用の道具として、SlackとGoogle Workspaceを使用した。
母語がばらばらな学生と教師が混ざる中で、口頭だけでは誤解を招きやすい。
双方
騒音の件も、うるさいと訴えた側と、音を出していた側、両方に話をした。
どちらかを守るためではなく、その状況が続いた場合に何が起きるかを伝えた。
やり取りはすべて英語で淡々と話した。ただ、伝えようとしていた圧力まで含めて意訳すれば、こうなる。
苦情を持ち込んだ学生には、「お前、社会に出ても、上司に助けを求める気か?」と問い、うるさくした方には、「お前のせいで奴の成績が落ちたら責任取るのか?」と尋ねた。
双方とも答えられない。
この問題がこれ以上拡散すること、肥大化することを止めるつもりで言った。
言葉使いがそれを追いかけた。
権力による抑制に近いといわれれば、それは否定しない。
ただ、その場で相手が動かなければ、問題はそのまま残る。
言葉の強さは、届かせるための選択だ。
こういった場では、相手が理解しなければ意味がない。
結果
その後、数ヶ月はかかったが問題は減った。
回数を数えたわけではない。これらの問題に対する私の業務量が確実に減少したのでそう言える。
一定の基準を守らないと、より大きな負荷が学生たち自身にかかってくることが徐々にわかり始めたからだ。
全員ではないが、行動を変える学生は確実にいた。
怒鳴らなかったから変わったのか、道具を使ったからなのかは分からない。
文化説明という方法は万能ではないが、必要条件ではあると思う。
理解と統制は両方必要だ。
そうしなければ、現場が回らなかった。
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