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エピソード 08|登りかけたはしご
構造 洗濯物から始まる話だ。 学生寮や社会人寮では、よくある問題だと思う。 洗濯機は共用物で、私が勤務していた学生寮では、 6〜7人に対して洗濯機2台、乾燥機1台が割り当てられる計算だった。 些細な洗濯機の順番ひとつでも、そこに"構造の再現"がある。 誰かが譲り、誰かが支配する。 些末な場所ほど、人の関係は正確に浮き彫りになる。 互いに迷惑をかけないように使う。 当たり前のことだが、なかなか通じない。 洗濯も乾燥も時間がかかる。 特に冬場は、乾燥中に寝落ちする子も多い。 結果として、共用物が「誰かの専用機」になり、 常に洗濯物に占拠されて、他の学生が使えない状態となる。 対策は考えた。 大きめの洗濯かごを用意し、前の人の洗濯物を退避させる場所を設けた。 だが、誰も使わない。 理由は単純だ。 使えるかどうかを確かめるためにランドリーまで行くのが面倒。 他人の下着を触りたくない。 問題 エピソード01に出てきた彼が、 この件で一番困っていた学生だった。 割り当て人数の関係で、順番待ちは長くなる。 ただ、この寮は建物が大きく、 同じフロアに予備の洗濯機

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5月18日読了時間: 3分
エピソード09|よい子のこと
よい子 Wは香港から来た女子学生だ。 IB生では珍しくN2を持っている。 読み書きはともかく、しっかりとした日本語を話すので、私ともカフェテリアのスタッフとも距離が近い。 人懐こくて、明るい。 ギターを弾き、アニソンを歌うことが趣味で、誰とでも、等距離で話ができる子だ。 でも、それが子どもなりに苦労して身につけた鎧だとすれば? 点呼 学生寮では、女子学生と男子学生は当然フロアが分かれる。 女子フロアに進むことができる関係者で、男性は私だけだ。 教職員、父親の訪問時でさえ、遠慮してもらう。 5月の連休の初日、ルームメイト3名はすでに旅行や帰省でいない。 私は夜の点呼をして回るが、そのフロアで残っているのは、このWという子と、もう一人、遠いユニットにいる2名だけだった。 ドア越しに名前を呼ぶ。 返答があればOK、そうでなければ事態を確認する義務がある。 その場合、私は女子の部屋にマスターキーで入室する資格を学校から得ている。 ICカードなので、私の入室がログで記録される。 私は、入室する時は念には念を入れて録音か録画をするが、録画だと見られたくないも

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5月18日読了時間: 6分
観測点の設計
― なぜ私は「早く気づく」ことを重視するのか ― 生活の中で起きる問題は、多くの場合、突然始まるように見えます。 衝突。 孤立。 関係の断絶。 しかし現場に長くいると、それらの多くが小さな変化から始まっていることに気づきます。 夕食に来なくなる。 会話が減る。 共有スペースを避けるようになる。 どれも珍しいことではありません。 だからこそ見過ごされます。 問題は起きた瞬間に生まれるのではなく、気づかれなかった時間の中で形を変えていきます。 問題を解決する人ではなく 私の役割は、問題を解決することではありません。 誰かの代わりに判断をすることでもありません。 生活の場では、それぞれが自分の責任を持っています。 本人が決めること。 家族が決めること。 学校が決めること。 その境界を越えてしまうと、支援は簡単に依存へと変わります。 だから私は、判断を引き受けません。 代わりに行うのは、状況を観察し続けることです。 なぜ観測が必要なのか 生活空間では、多くのことが言葉になりません。 疲れも迷いも、はっきりとした相談になる前に現れます。...

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2月21日読了時間: 3分
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